後編

GASSHI

やってはいけないことをやってしまった
人間はある種の満足感に浸る時間が存在する。

映画のエンドロールを見ながら、
してやった感に浸っていた僕らに悲劇が
待っているのは必然。

ケータイの電源を入れてみる。

不在着信

56軒(くらい)
同期や後輩 マネージャーやまさかの母親。

そこで現実に戻される。

これはやってしまったと、、、

悪意というものは、他人の苦痛自体を目的とするものに
あらずして、われわれ自身の享楽を目的とする。

ニーチェだったらそういうだろう状況。

ただただ、現実に打ちのめされながら
小林君と
僕 「おい、どうする?」
小林「俺は後悔してないぜ、あいつらなんかくそくらえだ」
僕 「だな、とりあえず、今日は家に帰ろう」

みたいな感じで

家路に帰ろうとしたその時!

またも母親からの電話。

僕「なんだよ」
母「あんた、今日部活はどうしたの?」
僕「知らねえよ」
母「知らないってどういうことよ!
  今家の前に部員さん全員来てるわよ!!!」
僕「はあ???」

そう、今この時、この瞬間!
まさに何事かと心配した野球部員が僕の家に
集結してしまっているのだ。

僕 「うちにみんないるってよ、、、」
小林「マジで?逃げんべ、逃げんべ」
僕 「バカ!お前は逃げれるけど、俺は逃げる場所ねーじゃんか!」
小林「知らねえよ、バカ!俺は帰るぞ!」
僕 「バカやろう!俺に全部押しつける気か!お前も来い!」

というやり取りの後、嫌がる小林君を連れて家へ向かった。

道中、僕らはまさに「ピンチランナー」と化していた。

僕の家の前には、大きな公園がある。

そこには、怒り、悲しみ、哀れみを含んだ表情で
待ち構えていた部員達がいた。

同年代3年生の10人ほど、、、

部員1  「お前ら、一体どこ行ってたんだよ」

僕・小林「・・・・・・・・・・」

部員2 「黙ってちゃわかんねーだろ!?」

僕・小林「・・・・・・・・・・」

マネージャー「どれだけ心配したと思ってんのよ!!」

僕・小林「・・・・・・」

部員1  「で、お前らマジでどこ行ってたんだよ」

小林  「・・・・・・ピ」

一同 「ピ?」

小林 「ピンチランナー観に行ってたんだよ!!!
    なんか文句あるか!!!」

まさかの逆切れ、、小林は責められることを嫌うプライドの高い男
要は短気だった、、、、

一同「ふざけんじゃね〜〜〜〜」

部員1「つーか、そんな気持ちならやめちまえよ!」
部員2「そんな中途半端な気持ちのやつらと一緒に
    プレーなんてできないから、お願いだからチームを
    やめてくれ」

ここで、同期の補欠部員が重い口を開いた。

部員3「お前らが、試合に出てる間、お前らを信じて
    ベンチで見守っている俺の気持ちが分かるか!?」

僕・小林「・・・・・・・・・」

マネージャー「昨日みんなで約束したじゃない、夏の大会
       みんなで力を合わせて絶対勝とうって・・・」

部員4「言ってるそばから、そういう行動に出るのは考えられない!
    頼むから今ここで辞めるって言ってくれ!!!」

時刻は夜の八時。
スポコンさながらのセリフは、近所の住民に丸聞こえだ。

みんなの目には涙が溢れている。

俺は、

俺は、、、

僕「ごめん、、、みんな」
小林「ごめん、、、」

部員2「ごめんじゃねーよ!辞めろっつてんだろ!!」

キャプテン「まあ、待て!!」

部員2「で、でも、、、」

キャプテン「お前ら、、 こんなこともう二度としないって誓えるか?」

僕・小林「・・・・・・・・・」

キャプテン「、、、、聞いてるんだ。
      お前らは大事な仲間であり、かけがえのない友達だ。
      俺は3年間野球部をやってきて、このチームメイトが
      大好きなんだ。
      皆あんなこと言ってるけど、みんなもお前達のこと、、、
      大好きなんだぜ、、、、
      おまえらが約束してくれるなら、、、
      全員で甲子園めざそうぜ!」

僕・小林「、、、、誓うよ。
     もう二度とこんなことはしない。」

僕の高校生活最大の事件。

これをきっかけに1つになった僕たち野球部は、
甲子園こそ行けなかったけど、
大会では勝利をおさめることができたのです。

ちなみに今では、僕以外ほとんどみんな結婚して
子供もいます。

終わり